個人の倒産手続 その3 〜破産手続Q&A 

   暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

 さて、破産手続を進めるに当たって依頼者の方から質問をいただくことがあります。そこで今回は、その中からいくつかをピックアップして、ご説明したいと思います。

 

 今回取り上げるものは以下の2つです。

 

Q1.破産手続の申立に必要な費用を準備できない場合に、何か利用できる制度がありますか?

Q2.財産は全て手放さなければなりませんか?

 

 それでは、Q1から順に説明していきます。

 

 

Q1.破産手続の申立に必要な費用を準備できない場合に、何か利用できる制度がありますか?

A.法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度があります。

 

   破産の申立てをするにあたっては、〆枷十蠅房める予納金などの実費と、∧杆郢里忙拱Гθ駘僂鮟猗する必要があります(※申立を弁護士に依頼する場合)。

   しかし、これを多重債務に陥っている状態で準備することは困難なケースが多いのが通常です。そのため、法テラスが民事法律扶助制度を設けています。

 

 この制度を利用すれば、破産に必要な費用の一部を法テラスに立替払いしてもらうことができます。なお、自己破産の予納金については原則として立替の対象とならず、例外的に、生活保護を受給している場合に立替の対象となります。予納金の内訳は、官報掲載費用で10,000円〜13,000円程度、管財事件となった場合には、20万円程度です(※)。また、管財事件でない場合(同時廃止事件)は、予納金は15,000円程度になります。

※各裁判所や事案によって金額が異なります。

  

   法テラスに立替払いをしてもらった費用については、分割して法テラスに返済していくことになります。

 

 

 

Q2.財産は全て手放さなければなりませんか?

A.破産手続が開始されたとしても、全ての財産を手放さなければならないわけではありません。

 

  破産手続が開始されると、破産者の財産のうちの一部が「破産財団」(破2条14項)となり、その管理処分権が破産管財人に移行します。この破産財団の範囲は、破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産とされています(破34条1項)。

 

   そのため、持ち家、自動車、預貯金、保険の解約返戻金、有価証券等を有している場合には、破産管財人によって処分される可能性があります。

 

   これに対して、以下の財産については、破産管財人の管理処分権が及ばないため、破産者は自由に処分することができます。

 

1 「自由財産」

  「自由財産」にあたる財産については、破産財団から除外されます(同条3項・4項)。この自由財産には、当然に自由財産と認められる本来的自由財産新得財産及び裁判所の許可によって自由財産となる財産(自由財産の拡張)があります。

 

☆本来的自由財産

本来的自由財産には、次のようなものがあります。

 

(1)99万円以下の金銭(現金)(破34条3項1号、民執131条3号、民執令1条)

 

(2)金銭以外の差押えが禁止された財産(破34条3項2号)

  

      〔瓜執行法上の差押禁止動産(民執131条)

   ・生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用品、畳及び建具

   ・1ヶ月間の生活に必要な食料・燃料

   ・農業・漁業従事者の農機具・漁具など

  

      ¬瓜執行法上の差押禁止債権(民執152条)

   ・給料及び退職手当(原則4分の3相当部分)など

  

      F段緬‐紊虜慌ゞ愡澪銚

   ・生活保護受給権、老齢年金受給権など

 

☆新得財産

   破産財団の範囲は、破産手続開始時に有する財産に限られるため、破産手続開始決定後に取得する財産については、破産管財人の管理処分権は及ばず、破産者が自由に処分することが可能です。

 

☆自由財産の拡張

   破産者の経済的更正という破産手続の目的を達成するためには、本来的自由財産に当たらない場合であっても、破産者の個別の事情を考慮して、自由財産を拡張する必要性が認められます。

 

   そこで、裁判所が、破産者の生活状況等の事情を考慮して、自由財産を拡張することが認められています。

 

   実務上は、拡張を求める財産の価額と本来的自由財産である現金の額を合わせて99万円を超えない場合には、原則として自由財産の拡張が認められています。

 

2 破産財団から放棄後の財産

   破産管財人が破産財団中の財産を処分できなかった場合には、その財産を破産財団から放棄する場合があります。この場合には、その財産の管理処分権が破産者に復帰しますので、破産者は自由に処分することが可能です。

 

   そのため、山林や建物等の不動産を所有していて、その固定資産税の支払が苦しい場合であっても、破産管財人が処分できなかった場合には、管理処分権が破産者に復帰するため、以後は固定資産税を支払い続ける必要があります。

 

 

 

事務局:津森

監修:弁護士 中井 洋輔



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