島根の不動産は動いているか? 〜不動産競売の地域差を定量的に考える

不動産の競売で,どれくらいの不動産が実際に買われていると思いますか?

先日,不動産競売に関するデータ分析の資料(全国競売評価ネットワーク データ収集・分析研究委員会「平成20年~平成21年の競売データの分析」)を見る機会がありました。

データ自体は平成20年4月〜平成21年3月までの期間のものと少し古いですが,興味深い内容でした。


全国でみると,63487件の不動産がこの期間中に競売にかかっています。

そのうち,売却されたのが38719件で,売却率は61.0%でした。

しかし,島根(松江地方裁判所管内)についてみると,競売実施件数は395件,そのうち実際に売却されたのは188件で,売却率は47.6%でした。


ちなみに参考までに売却率が高いトップ3は,

1位 愛知 83.7%
2位 兵庫 78.6%
3位 和歌山&大阪 75.8%

でした。

逆に,売却率の低いワースト3は,

47位 岩手 37.2%
46位 高知 38.0%
45位 長崎 39.8%

でした。


このような結果が一体何に起因するのか。

経済か(リーマンショック後のデータです)。

県民性か(名古屋と阪神,どことなく似ているところがあるような)。

土地利用の状況か(農業地域は売却率が低いのかもしれません)。

それとも,それ以外の要素なのか。

考えてみると非常に興味深いデータです。


振り返って島根に着目すると,平均よりも売却が成立していないことがわかります。

考え方によっては,

「競売にかかっても2件に1件は売れずにそのままである」

ということになります。

無論,物件の種類によって落札のされやすさに違いがあると思われますので,あくまで数字から感じられるイメージです。


競売自体は決して日常的なものではないですが,担保からの回収手段として,金融制度のインフラストラクチャーとしての面を有していることは疑いようがありません。

他方,競売の場面ではいろいろと難しい法的問題に直面することが結構あります(少なくとも私の経験からはそう感じています)。

法的な視点に加え,このような定量的なデータも検討しながら,今後も研鑽を積んでいきたいと思います。



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