家が「競売」にかかってもまだ住める? 「売られる側」の競売知識 1

 「競売」という制度をご存知でしょうか。

昨今,競売で不動産をお得に買う,と言った本が出版されるなどし,一般の方でも競売を利用したいという方は結構おられるようです(もっとも,実際にお得かどうかはケースバイケースだとは思いますが)。

先日,松江地裁に出かけた際,開札期日が開かれていましたが,多くの人が開札の部屋で待っておられ,盛況に見受けられました。

かくいう私も,自分で入札したことこそありませんが,なぜか競売がらみの事案には縁があり,買う側・売られる側のいろいろな事案に弁護士として対応してきた経験があります。

そこで,今回は,この競売について,「不動産を売られる側」の視点からすこし解説してみたいと思います。



1 支払えなくなったから競売される

住宅ローンを組んで家を購入・建築したり,事業資金を借りたりしたときに,自宅やその敷地に「抵当権」という担保が設定されます。

不動産の競売の多くは,この抵当権を「実行」するための手続として行われています。

すなわち,住宅ローンや事業資金の返済がかなりの期間滞ったり,債務の整理や倒産と言う事態になった場合には,債権者が債権の回収を行うために,この競売によって当該不動産を売却して,そこから回収を図る,という訳です。

2 売れるまでは住み続けられます!


競売(通常の期間入札)の手続は,概略すれば以下のような流れで進みます。


 〆銚⊆圓裁判所に競売を申し立てる
  ↓
 ∈枷十蠅砲茲襦峩デ箜始決定」
  ↓
 執行官による調査
  ↓
 て札期間(一定期間の間,買受についての入札が可能)
  ↓
 コ札期日
  ↓
 裁判所による「売却許可決定」
  ↓
 Фネ遒靴真佑蓮1か月以内に代金を納付すると所有権を取得し,登記名義を変えてもらえる
  ↓
 売却代金について,債権者に配当。代金に余剰があれば,所有者へ交付



所有者が競売の開始を知るのは2の競売開始決定の通知が来た段階です。

そして,これらの一連の手続が終わるまでには,経験的には,大体半年くらいかかることになります。

ここでポイントとして押さえておかねばならないのは,6・7の代金納付による所有権移転までは,所有者は住み続けることができるという点です。


抵当権は,ものの「交換価値」(=売却代金と思ってください。)を把握する権利であり,「利用価値」(=居住する事と思ってください)については対象となりません。

無論,競売の結果として不動産の所有者が交代すれば,もとの所有者は所有権を失う以上住み続けることはできなくなります。

しかし,それは言い換えれば,売れるまでは所有者は変わらない以上,住み続けてもかまわないということです。


引っ越し等の時間的余裕を考えると,現実には6・7の段階まで住み続けるのはリスクを伴うともいえますが,理論的には問題ないということになります。


3 執行官調査は売却の準備

△猟銘里届いた際,の執行官調査の期日についての連絡が書いてあるのが通常と思います。

執行官というのは裁判所の職員の一種です。実は執行官は少し特殊な公務員なのですが,その点についてはまたの機会にお話ししたいと思います。

この執行官調査では,当該不動産について,購入希望者に示すための当該物件における権利状況の調査や売却の基準となる価格を決定するための調査が行われます。

私が立ち会った事案では,権利状況についての聞き取りや物件の内部確認,写真撮影などが行われていました。

ですので,この執行官調査があるからといって,この段階で家を明け渡したりする必要はありません。

4 次回予告

さて,イ燃札した結果,入札者がいなかったらどうなるでしょうか?

経験上,入札者がいなくて売れなかった場合には,「好機」が訪れたり,あるいは「危機」が訪れたりすることがあります。

その意味で,売れなかった場合というのは注意が必要な場面なのです。

そこで,次回は,この「競売で売れなかった場合にはどうなるか?」について,説明してみたいと思います。



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