個人の倒産手続 その2 〜破産手続の流れ〜

 「個人の倒産手続 その1」では、各倒産手続の意義とメリット・デメリットについて確認しました。今回は、破産手続がどのような流れで進んでいくかについて確認していきたいと思います。

 

弁護士に破産申立を依頼した場合には、破産手続は一般的に以下の流れで進行します。

 

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・一般的に、債務の残高、資産の有無、破産に至った経緯等の聞き取りが行われ、今後の流れ等の説明が行われます。

 

・債権者に受任通知が送られ、債権の調査が行われます。これにより過払や消滅時効の経過が判明することもあります。また、以後は弁護士の方に問い合わせるように通知されるため、債権者とのやりとりは弁護士が行うこととなります。

 

・偏頗弁済(※)になることを防ぐため、債権者への返済を一律停止します。

※支払不能または破産手続開始申立てから破産手続開始までの時期に行われる、既存債務に対する支払のことをいいます。偏頗弁済は、否認の対象となります(破162条1項)。

 

    ↓

 

破産手続開始申立て

 

・打ち合わせによって得られた情報や、債権調査の結果から判明した情報を元に、弁護士が破産手続開始の申立書を作成し、裁判所に提出をします。この準備のため、数回程度の打ち合わせを行うのが通常です。

 

・裁判所に予納金の支払を行います。

 

 ↓

 

G忙瑳蠡崖始決定

 

・原則として、破産手続開始決定と同時に破産管財人が選任されます。

 

   ただ、例外的に債務者の有する財産が破産手続の費用を償うに足りないと裁判所が認めた場合には、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定が出されます(同時廃止 破216条1項)。

 

   この場合は、破産者の財産が処分されることなく破産手続が終了しますが、免責申立の資格は認められています(破248条1項参照)。そのため、手続はГ量叛佞飽楾圓靴泙后

 

以下、破産管財人が選任された場合の手続を説明します。

 

・破産者の財産の管理処分権は破産管財人に移るため、破産者は破産財団(※)となる自己の財産を自由に処分できなくなります。

※破産財団とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいい(破2条14項)、破産者の全ての財産が破産財団となるわけではありません。詳しくは、「個人の倒産手続 その3」で説明します。

 

  また、郵便が破産管財人に転送される等の制約が生じます。

 

・破産手続開始決定後は、破産債権者の個別の権利行使が禁止されるため(破100条1項)、原則として、破産債権者は破産者に対して強制執行等をすることができなくなります。

 

 ↓

 

ぁ檻院’忙佐漂眇佑砲茲襦∈盪困隆浜・換価、債権者の債権届出書提出等

 

・破産管財人は、配当するための原資を確保するために、破産者の財産を管理し、換価できるものは換価します。

 

   また、債権者から債権届出書が提出されるため、その内容が正しいか調査し、破産債権の額を確定させます。

 

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・破産手続においては、債権者への報告の機会として、数ヶ月に1度債権者集会が開かれます。債権者集会においては、破産者が破産に至った事情や、財団の管理・換価の結果、配当可能性等について報告が行われます。

 

  出席者は、裁判官、裁判所書記官、破産管財人、破産者、申立代理人、債権者です。

 

  破産者は、病気などで出席が不可能な場合を除いて、原則として出席が必要です。

 

   ↓

 

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・優先的に弁済を受けることのできる財団債権者に対して弁済を行った後に、なお、配当するための原資が残っている場合には、破産債権者に対して配当がなされます。

 

   他方で、配当するための原資が確保できなかった場合には、裁判所の異時廃止決定により、配当をすることなく破産手続は終了します(異時廃止)。

 

 ↓

 

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・配当終了後、裁判所から破産手続終結決定が出されることにより、破産手続が終了します。

 

 ↓

 

免責

 

・免責手続は、破産手続とは別個の手続ですが、破産手続開始申立と同時に免責許可申立を行っています。

 

   そして、免責不許可事由がないか、あったとしても裁量免責を相当とする事由があれば、免責許可決定が出されます。

 

   これが確定すると、破産債権者に対する債務については、その責任を免れることとなり(破253条1項)、破産者は復権することになります(255条1項1号)。

 

 

 基本的に以上のような流れで破産の手続は進んでいきます。

 

   破産者がどの程度手続に関与しなければならないかは、個々の事案により異なります。ほとんど関与することなく手続が終了する場合もあれば、破産管財人から度々事情の説明を求められたり、関連書類の収集等を求められたりするなど手続に多く関与しなければならない場合もあります。

  

   破産者は破産管財人等に対する説明義務等を負っており(破40条、41条)、これらの義務に違反する場合には犯罪が成立する場合もあります(破268条、269条)。

 

   また、義務違反は免責不許可事由にもあたるため(破252条1項8号・9号)、注意する必要があります。                       

 

事務局:津森

監修:弁護士 中井 洋輔



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