投資被害の現在〜劇場型投資詐欺について

「劇場型投資詐欺」という言葉をご存知でしょうか。

振り込め詐欺については,みなさんよく御存じと思います。

しかし,劇場型投資詐欺というのは聞いたことがないという方も多いかもしれません。


劇場型投資詐欺(振り込め類似詐欺とも呼ばれます)とは,概略していえば,

/兇蟾め詐欺と同じように,「劇場型」の手口を利用し,

金融商品などの儲け話を持ちかけて,その代金として振り込ませる詐欺

といえます。

よくある振り込め詐欺では,親族等を装って,その人がお金が必要だから,という理由で振り込みを行わせます。

そして,この「親族がお金が必要」という部分のリアリティを出すために,台本を作って,たくさんの登場人物(被害者役,警察役,弁護士役など)がかわるがわる登場し,役割を演じます。

よく言われるように,人間心理を利用した犯罪です。

劇場型投資詐欺は,振り込め詐欺のように「人間心理」に漬け込むものではありません。

むしろ,価値のない架空の商品を高額で売りつける,という部分に着目すれば,昔からある犯罪です(高額な羽毛布団の売り付けとかを想像してください)。

しかし,この犯罪で新しいのは,その手口として,振り込め詐欺と同様の「劇場」が使われる点です。


たとえば,2011年に島根県消費者センターから配信された消費者被害注意情報では,以下のような例があげられています。


消費者被害注意情報201103号より(http://www.pref.shimane.lg.jp/life/syoku/shohi/kurasi_info/tyuui/tuyyi2011003.html

以下引用

業者甲「A社の者です。この証券を買いませんか? 無理には勧めませんが」


消費者「興味ないです」


業者乙(甲とは別人)「B社の者です。A社の証券は選ばれた人しか買えないんです。あなたがA社から購入した証券を、うちが高く買い取りますよ」


消費者「ふーん。簡単に差額が儲かるなら買おうかな、ふふふ。......あれ、証券を買ったのに肝心のB社と連絡が取れないぞ? A社も行方をくらましてる。だ、だまされた!」


引用終わり


この設例では,業者甲と業者乙という二人の人物が登場します。

それぞれが,「売り手役」と「信用性を高める役」に分かれて,別々に被害者にアプローチして目的の「商品」を買わせようと「演技」します。

そして,被害者が首尾よく入金したら,「商品」を送り付け,しばらくすると連絡が取れなくなります。

ここで売り込まれる「商品」は,普通に考えれば価値のないものです。

たとえば,実際にあった例としては「仏像」があげられます。

普通,仏像を電話勧誘やDMで買ったりしませんが,それを買わせてしまうのが劇場型投資詐欺です。

また,時には,鉱物担保権,合同会社の社員権など,そもそも「?」と思うような投資商品だったりします。

これらのよくわからないものを,劇場型の手法で,さも儲かる商品であるかのように装ってお金をだまし取るのが,この劇場型投資詐欺なのです。

なお,上記の例は,劇場型投資詐欺が登場し始めたころのシンプルなものです。

現在は,もっと巧妙な手口になっていますので注意が必要です(被害を取り戻してあげる,などと言って二次被害を生じさせるケースもあります)。


この手の被害は,すぐに業者と連絡が取れなくなるという点も含め,振り込め詐欺と同様に,なかなか被害の回復が難しいのが現状です。

ですので,最も重要なのは,「被害にあわないようにすること」です。

そのためのポイントは2つ。

1つ目は,儲け話が向こうから来ることはない,ということを肝に銘じることです。

そして2つ目は,話していて「劇場型」ではないか?と思ったら,お金を払う前に専門家に相談することです。

いつか県内からこのような被害がなくなる日が来てほしいと願わずにはいられません。



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