短期連載:新型コロナウイルス対策制度の基礎知識 第2回 事業者向け情報 (1)雇用維持のための助成金制度 ⊂学校休業等対応助成金

前回は,「事業者側の事情で固定費削減の観点から従業員を休業させる場面」の対策として作られている助成金をご紹介しました。

今回は,少し切り口が異なり,「従業員側の事情で休業せざるを得ない場合」に使える助成金です。

 

島根県では,4月に入り,松江市・安来市・出雲市などで小中学校の休校が実施されています。

今のところ,小学1〜3年生等の一定の子どもたちについては,学校の方で事実上の預かりをしてもらえるようですが,それ以外の子供たちについては,各家庭で対応しなければなりません。

子どもを監護している父や母が就労している場合,祖父母などの親族で対応できればよいのですが,それができない場合には,就労している父母が仕事を休んで対応せざるを得なくなります。

 

このような場合に,事業主が特別の有給休暇制度を作り,その従業員に賃金全額支給の休暇を取得させると,賃金相当額の100%相当額(ただし,上限はあるので事業主の負担が0になるわけではありません。)の助成金が受けられる,というのが「小学校休業等対応助成金」です。

前回の助成金同様,申請者も受給者も事業者です。

 

事業者の立場に立ってみると,ポイントの1つ目は年次有給休暇(通常の有給休暇)には適用がなく,小学校等休校に対応するための「特別の有給休暇制度」を作る必要があるという点です。

もっとも,特別の有給休暇制度といっても,必ずしも休業規則等の整備をする必要はないとされています。

無論,弁護士の立場からは整備した方がいいと思いますが,コロナウイルス対策である以上労力やコスト面での余力がないことが前提なので,むしろ柔軟な対応ができる点を評価すべきかもしれませんね。

 

2つ目のポイントは,休暇を取得した労働者には,年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払う必要がある点です。

助成金の上限は一人当たり8330円ですが,賃金額がそれを超える場合であっても,全額の支払いが必要なので注意が必要です。

繰り返しとなりますが,100%助成だからと言って,事業主負担が常に0になるわけではありません。

 

3つ目のポイントは,前回の助成金同様,先に賃金を従業員に支給してから助成金を受け取る仕組みになっている点です。

申請の状況については,現時点で私は情報を得ていませんが,受け取りには時間がかかることがやはり予想されます。

資金繰りをどうするかはやはり問題になるわけです。

 

制度の骨子は,以下の通りです。

 

・助成内容

 有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額×10/10

 *対象労働者の日額換算賃金額×有給休暇の日数で算出した合計額

 

 上限額:8330円

 申請期間:令和2年9月30日まで

 

・対象

 /祁織灰蹈淵Εぅ襯拘鏡症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子ども

 ⊃祁織灰蹈淵Εぅ襯垢亡鏡した子どもなど,小学校等を休む必要がある子ども

 

・「小学校等」は,小学校,幼稚園,保育所,放課後児童クラブなどを含むが,原則として中学校・高校は含まない(障害のある子どもについては含む)。

 

・保護者の自主的な判断で休ませた場合は対象外

 

 

厚労省の制度解説は,以下のURLから見れます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

新設制度という点では,雇用調整助成金(特例措置)よりも理解しやすいかもしれません。

 

 

次回は,資金繰り支援についてご紹介します。



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