短期連載:新型コロナウイルス対策制度の基礎知識 第4回 事業者向け情報 (3)テレワーク導入支援

外出自粛要請を受け,各事業者ではテレワークによる業務継続が重要課題となっています。

 

現在テレワークと呼ばれているのは,従業員の在宅勤務がメインですね。

 

しかし,今ある事業の仕組みを前提にすると,すぐにはテレワークを導入できない企業は多いのではないでしょうか。

 

 

弁護士事務所を例にとってみましょう。

 

私の事務所で行っている業務は,大別すると,

 〇務所での相談

 ∈枷十蠅任亮蠡

 事務所での書面作成

 せ務所での電話対応

 セ務所での郵便対応

があります。

 

このうち事務局(一般企業でいうところの従業員ですね)が関わるのは,きイ任后

 

したがって,従業員の在宅勤務という意味でのテレワークを実現するためには,きイ鮗宅でできるようにしなければなりませんが,これがなかなか難しいのです。

 

 

についてみると,書面作成の前提として,各事件の事件記録を参照する必要があります。

 

しかし,秘密保持の観点から事件記録を事務所から持ち出すことはできません。

 

記録をPDF等のデータにすれば,事務所外でも参照可能となりますが,USBメモリなどのメディアにデータをコピーして持ち出すことは,紛失等のリスクがあるため採用できません。

 

そこで,PCに必要なデータをコピーしてPCごと自宅へ持ち帰って作業するというのが一つの方法論となりますが,当初想定していなかったデータが必要になった場合などには仕事ができなくなってしまいます。

 

このため,事務所内サーバに電子記録を保存し,外部からアクセスできるような仕組みや,クラウドベースのデータ保管を検討することになりますが,この場合にはサーバーの更新や新規サービスの加入などのコストが生じることになります。

 

 

また,きイ砲弔い討蓮せ務所への第三者のアクセス経路をどうするかの問題に帰結します。

 

事務所に人がいなくても相談者や事件関係者からのアクセスを実現する方法は複数ありますが,決して万能ではありません(たとえば相談希望の高齢者にEメールでの対応を求めることは難しいでしょう)。

 

イ砲弔い討い┐弌ず枷十蠅簗鮟蠅覆匹らの連絡が郵便で事務所に来る以上は,一定の郵便対応は不可避です。

 

したがって,完全なテレワーク導入のためには,事務所へアクセスしようとする人たちとのコミュニケーションの仕方を根底から見直すことが必要になってきます。

 

現実的には,IT技術を用いて,対面接触をできる限り減らす形に持っていくことで,テレワークの「趣旨」を実現していくことになりそうです。

 

 

少し話がそれてしまいましたが,伝えたかったのは,テレワークを導入するためには,小手先ではない業務の在り方の見直し&機材導入が必要であり,いずれにせよまとまったお金が必要ということです。

 

テレワーク導入が,特に中小企業(製造業などは難しいのではないでしょうか)を中心に想定したほどには進んでいないのには,事業毎の差異はあるにせよ,このような事情があるからだと思われます。

 

そこで,政府は,テレワーク導入を推進するための支援策を展開しています。そのうちの一つが,「IT導入補助金」であり,概要は次のようなものです。

 

 対象:中小企業・小規模事業者等

 補助額:30〜450万円

 補助率:1/2(特別枠は2/3)

 補助対象経費:ソフトウエア費、導入関連費等

 

補助率1/2で450万円上限の補助金ということは,900万円分の投資が半額の負担でできるということですので,テレワーク導入のために大規模なIT投資が必要な事業者にとっては,「うまみ」があります(2/3の特別枠なら尚更です)。

 

また,制度の特徴として,「IT導入支援事業者」の支援を受けることが前提とされている点があげられます。

 

どのようなツールを用いればよいのかがわからない事業者にとっては,このような支援者を頼りながら進められるのは心強いと言えるかもしれません。

 

もっとも,この補助金は,まだ2020年度の制度詳細が確定していないので,実際に補助金を使ってテレワークを導入できるのはしばらく先になってしまいます。

 

今まさにテレワークを導入したい企業にとって,ニーズに即応できる制度になっていないのはやや残念です。

 

 

次回は,減収に対する補填の制度である持続化給付金について説明します。



日付から記事を探す

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>

現在表示されている記事

最新の記事

記事の種類から探す

過去の記事

リンク

プロフィール情報

書いた記事数:233 最後に更新した日:2020/07/21

検索

中井総合法律事務所

弁護士 中井 洋輔
(島根県弁護士会所属)
島根県出雲市渡橋町61
一畑いずも渡橋ビル2階
[TEL]0853-31-4960
[FAX]0853-31-4961