短期連載:新型コロナウイルス対策制度の基礎知識 第5回 事業者向け情報 (4)減収に対する補填の制度〜持続化給付金

今日ご紹介するのは,報道等でも大きく取り上げられている「持続化給付金」です(200万円もらえる,と言われているやつですね)。

 

この給付金は,コロナウイルスの影響で,売上が減少した事業者に対して,「事業継続を下支えし,再起の糧として」もらうための,「事業全般に広く使える給付金」です。

 

ちょうど本日,経産省のサイトに速報版の情報が掲載されていました。

 

 

これまでに複数の「国からもらえるお金」をご紹介してきましたが,いずれも休業補償とかテレワーク導入とかの特定の目的のための支出をバックアップするものでした。

 

さらにいえば,先行して支出していることが前提で,まずは一度支出し後日(しかも月単位の後日)にそれが補填される制度でした(この点は,利息補充による実質無利子融資も同じですね)。

 

ですので,〔榲拘束がある,∋拿亳紊了後給付としてもらう,という2つの点で,ある種の使いにくさがある制度となっていました。

 

今回ご紹介する持続化給付金は,〔榲限定なし,∋拿个靴討覆てももらえる,という意味で,非常に使いやすい制度になっています(ただし,一定の限界もありそうです。詳細は下記)。

 

 

まず「どんな事業者が受け取れるか」ですが,主な要件は次の通りです。

 

,劼鳩遒稜笋蠑紊欧前年同月比で50%以上減少していること

■横娃隠糠以前から事業をしている&今後も事業を継続する意思がある(ただし,新規開業者の特例はあり)

B膣覿箸鬚里召中堅・中小法人&個人事業者

 

注意すべきポイントは,陵弖錣任后

 

,任蓮し彁擦料按鵑,事業主の種類(法人&青色申告の個人事業主と,白色申告の個人事業主)で2つに分かれます。

 

法人&青色申告の個人事業主では,2019年と2020年のそれぞれ「同じ月の売り上げ」を比較します。

 

申請要領(個人事業主)に記載されている事例で考えてみます。

 

イメージを持ちやすくするために,小さな定食屋さんであると想像してみてください。

 

この定食屋さんの売り上げは,次のようなものです(売り上げについては単位:万円)

 

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2019売上 30 20 10 30 30 20 30 30 30 20 20 30
2020売上 40 20 20 13                

 

この定食屋さんが青色申告事業者だった場合の計算は次の通りです。

 

青色申告事業者では,前述の通り,2019年と2020年のそれぞれ「同じ月の売り上げ」を比較して,基準となる「売り上げが減った

月」を特定することになります。

 

2020年の1〜3月については,それぞれ,前年同程度か少し良いくらいの業績でしたが,4月はドンと落ち込んでいます。

 

2019年4月を見ると月間事業収入が30万円,2020年4月の月間事業収入は13万円なので,前年同月比では56%の減となり,,鯔たします。

 

そこで,この場合には,4月を「売り上げが減った月」として特定し,計算することになります。

 

 

次に,定食屋さんが,白色申告事業者だったとすると,計算が少し違ってきます。

 

白色申告の個人事業主については,「2019年の月平均事業収入」と「売り上げが減少した月の事業収入」を比較します。

 

さっきの表の通りの売り上げだったと仮定して考えてみましょう。

 

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2019売上 30 20 10 30 30 20 30 30 30 20 20 30
2020売上 40 20 20 13                

 

 

2020年4月の月間事業収入は13万円で,先ほどと変わりません。

 

しかし,この定食屋さんは,年間売上が300万円,月平均売上が25万円ですので,基準となる50%以上の減少が認められるには,月の売り上げが25万円の半分である12万5000円を下回る必要があります。

 

つまり,4月はこの基準を5000円ほど上回っているので,給付金を受け取ることはできません。

 

給付金を受け取れるかどうかは,5月以降の売り上げが12万5000円以下になるかどうかにかかってくる,ということになります。

 

業況を考えると,受け取れる程度の減額は見込まれるでしょうが,受け取り時期が丸々1か月先になるとすると,この定食屋さんはとても困ることになるでしょう・・・

 

なお,このシミュレーションは,あくまで仮定のものであり,白色申告の事業者は青色申告事業者に比べて給付金を受け取りにくい,というわけではないと思います。

 

ただ,計算方法が違うことに起因して,同じ売り上げでもすぐに受け取れる業者とそうでない業者が出てくる可能性があることは否定できません(むろん,逆のバターンもきっとあるでしょうね)。

 

 

次に「いくら受け取れるか」ですが,概要は次の通りです。

 

・上限:法人 200万,個人事業主100万円

・計算式:2019年の総売上 − (前年同月比50%減の月の売り上げ×12か月) 

・10万円未満の端数は切り捨て。10万円単位で支給。

 

では,例によって先ほどの定食屋さん(青色申告)で見てみましょう。

 

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2019売上 30 20 10 30 30 20 30 30 30 20 20 30
2020売上 40 20 20 13                

 

 

売り上げが50%減となったのは4月で,減少後の金額は13万円です。

 

また,2019年の年間売り上げは,300万円です。

 

以上を前提に計算すると,

 

300万円 − (13万×12) = 144万円

 

となります。

 

計算のイメージは,基準となる「減った月の売り上げ」が1年間続いたと仮定しての減額分の補填,といえるでしょう。

 

そして,個人事業主の場合は給付金の上限100万円なので,給付金額は100万円です。

 

一方,法人の場合は上限200万円なのでこの定食屋さんが法人化されていたら,給付金額は140万円となっていました。

 

このあたりで,法人と個人事業主への支援の厚みの差が出るわけです。

 

 

また,この定食屋さんが法人だった場合,4月の売り上げを基準とするとさっき見たように,上限200万円に満たない給付金(140万円)しかもらえません。

 

しかし,一度給付金をもらうと,再度の給付申請はできない,とされています。

 

すなわち,再申請してもう60万円を受け取ることはできないわけです。

 

したがって,この定食屋さん(法人)としては,

 

A)早期の受け取りのために4月分の売り上げ減少で140万円受け取るか

 

B)5月にさらに売り上げが減るのを見越して受け取りを我慢するか

 

の選択を迫られることになります。

 

たとえば,5月売り上げが10万円になれば,給付金は180万円になります。

 

また,5月売り上げが8万3000円以下になれば,給付金は満額の200万円になります。

 

売り上げ規模が小さな法人では,結構悩む場面が出てくるのではないかと思っています。

 

 

この制度の概要については,経産省のHPに以下の情報が載っていますのでご参考まで(令和2年4月27日時点情報)。

 

https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200427003/20200427003.html

 

 

完璧な制度はないと思いますので,まずはこの制度がきちんと運用されることが大事です。

 

正式スタートは補正予算成立後ですが,できる限り早期に,必要な支援が全ての事業者にいきわたることを祈らずにはいられません。

 

 

5回にわたって事業者向けの情報をご紹介してきましたが,事業者向け情報は一度今回で終了し,次からは個人向けの情報を紹介していきたいと思います。

 

そういえば,第1回で紹介した「雇用調整助成金(特例措置)」について,助成率を100%にすると厚労省が発表した旨の報道が4/25にありました。

 

この点については,詳細情報を確認したうえで,またあらためてご紹介したいと思います。



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