短期連載:新型コロナウイルス対策制度の基礎知識 第8回 個人向け情報 (2)生活福祉資金制度による特例貸付

前回の投稿からまた少し時間が空いてしまいました。

 

この間,新規の支援として事業者の家賃支援の議論が始まり,既存の支援制度についても雇用調整助成金(特例措置)の上限額の見直し・持続化給付金額算定における端数切捨ての見直しの議論などが始まりました。

 

また,持続化給付金については,既に受領した事業者の方の報道などもあり,日々刻々と状況が前進しているのを感じます。

 

引き続き,社会全体での取り組みとして苦境にある事業者への支援の手が差し伸べられることを願うところです。

 

 

さて,今回紹介するのは,事業者ではなく個人の方を対象とした生活福祉資金制度による緊急小口貸付等の特例貸付です。

 

生活福祉資金制度とは,各都道府県にある社会福祉協議会で取り扱っている「収入減少に対するセーフティネット」としての貸付制度です。

 

通常は,市町村民税非課税程度の低所得世帯・高齢者世帯・障がい者世帯を対象とした各種の貸付(生活再建のための費用や住宅の賃貸契約を結ぶための費用に充てたりする総合支援資金,教育支援資金など)を,低利(連帯保証人があれば無利息も可)・無利息で行っています。

 

この制度の特則として,

 

・主として休業対応としての「緊急小口資金」の要件緩和

 

・主として失業対応としての「総合支援資金」の要件緩和

 

の2つの制度が作られました。

 

 

まず,1つ目の「緊急小口資金」の要件緩和ですが,通常の「緊急小口資金」の要件を緩和し,融資をとても受けやすくしています。

 

【対象者】

通常の制度では前述の通り低所得世帯等に限定されていました。

 

特則では「新型コロナウイルスの影響を受け,休業等により収入の減少があり,緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯」であれば広く融資を受けられるようになりました。

 

休業状態でなくても,収入減少があれば対象となるようです。

 

【貸付上限額】

従来は上限10万円だったのが,上限20万円に拡大されました。

 

【返済】

1年間は返済をせずともよく,返済開始から2年以内に完済さればよくなっています。

 

【利息・保証人】

無利息かつ保証人不要です。

 

以上のように,この貸付は,休業等で当座の生活資金に困るとき,20万円まで無利息・無保証で貸してもらって,1年後から2年間かけて返す,という制度設計になっています。

 

給付金ではないので返す必要はありますが,条件が非常に緩くなっており,無利息なので,利息が付くキャッシングや消費者金融を使うくらいなら,まずこちらを使った方が圧倒的に有利です。

 

 

次に2つ目の「総合支援資金」の要件緩和ですが,通常の「総合支援資金」の要件を緩和し,こちらも融資をとても受けやすくしています。

 

【対象者】

通常の制度では,やはり低所得世帯等に限定されていました。

 

特則では,「新型コロナウイルスの影響を受け,収入の減少や失業等により生活に困窮し,日常生活の維持が困難となっている世帯」であれば広く融資を受けられるようになりました。

 

緊急小口資金の特則同様,失業状態でなくても,収入減少があれば対象となるようです。

 

【貸付上限額】

二人以上世帯 月20万円以内,単身世帯 月15万円以内。

貸付期間は原則3月以内。

 

少しわかりにくいので補足すると,2人以上世帯では,最大3か月にわたって,毎月最大20万円(3か月×20万=合計60万円)を借りられる制度になっています。

 

例えば夫婦2人の世帯で,夫がR2年3月に解雇され,すぐにこの融資を申請して4月から貸し付けを受けられたとすると,R2年4月に20万円,5月に20万円,6月に20万円が借りられます。

 

この3か月間の貸付で生活費をねん出し,その間に再度の就職をして生活を立て直してほしい,という制度趣旨です。

 

【返済】

1年間は返済をせずともよく,返済開始から10年以内に完済さればよくなっています。

 

緊急小口資金の特則に比べると,返済期間がかなり長くなっていますが,貸付限度額が大きいので,当然と言えば当然ですね。

 

前者だと2年で20万円=月約8300円の返済,後者では10年で60万円=月5000円の返済となります。

 

先ほどの夫婦の例で考えると,R3年3月までは返済不要,R3年4月からR13年3月まで毎月5000円ずつ返済,といったイメージです。

 

【利息・保証人】

無利息かつ保証人不要です。

 

通常の制度では,保証人がいない場合には年1.5%の利息が付いていましたので,保証人なしでも無利息というのは大きい条件変更です。

 

 

なお,これら2つの貸付制度は基本的に各市町村の社会福祉協議会が窓口なのですが,緊急小口資金特例貸付については,4月30日から労働金庫においても郵送による受付を行っているようです。

 

前回ご紹介した特別定額給付金の給付が始まったので,この2つの貸付制度はしばらくあまり使われないかもしれません。

 

しかし,影響が長期化して給付金を費消してしまってなお生活が困窮する世帯が出てきたときには,再度この制度が有効に使われるようになるのではないかと思います。

 

 

8回にわたってお届けしてきた短期連載も,今回で一旦終了となります。

 

コロナウイルス対策としてはご紹介したほかにもいろいろな制度がありますが,まずはこれらの制度をしっかり押さえておけば,他の制度も理解しやすくなるのではないかと思います。

 

今後も,できる限り,私なりの視点での情報をお届けしていきたいと思います。



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