アトラスの明日はどっちだ 〜インデックス社の民事再生

 
アトラスというゲームソフト開発メーカーをご存知でしょうか。

「プリクラ」を開発した会社,というと,ピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。

この会社は私が小学生のころからテレビゲームソフトを開発しており,近年では,インデックスという会社に吸収合併され,同社のゲーム開発事業部門として事業を継続していました。

近年でもヒット作品を発売し,堅実なビジネスをしているという印象を持っていました。

ところが,先月27日,このインデックス社が,東京地裁に民事再生手続開始の申立てを行いました。

報道されているところによれば,インデックス社は粉飾決算の疑いで証券取引等監視委員会の捜査を受け,急速に資金繰りが悪化したことが申し立ての理由とのことです。

また同じく報道によれば。事業を継続しながら,事業の売却先を探し,その代金で弁済をする予定にしているようです。

今日は,このインデックス社の民事再生申立の「意味合い」を少し説明してみたいと思います。


1 民事再生は,事業をつづけながらの倒産処理

民事再生というのは破産と同じく「倒産処理」のための法的手続です。

しかし,破産との最大の違いは,民事再生では,「事業を続けながら」倒産処理手続を進められます。

つまり,ざっくりとした言い方をすれば,商売をつづけながら倒産できる,ということになります。


2 民事再生して事業を譲渡する意味

事業部門を売却して,その代金で返済をするというのは,倒産処理に限らずよく行われる事業再生の手法です。

この点,破産手続の中でも,この事業譲渡自体は可能です。

しかし,破産の場合には,破産手続開始決定後は従業員の雇用を基本的に維持できないため,事業譲渡までに時間を要する場合には,人的リソースの散逸を招くことになります。

他方で,民事再生であれば,従業員の雇用を維持しながら,当該事業部門の譲渡先を探す時間をねん出することが可能となります。

事業において「従業員の持つ価値」が大きい場合には,民事再生を行う意味があるといえるのです。

優良な事業部門があれば,民事再生手続の中でそれを生かして譲渡し,その対価をもって債権者への弁済をできる限り行うことができるというわけです。


3 インデックス社の場合は

この点,インデックス社においては,アトラスがその「優良な事業部門」にあたると考えられます。

ゲーム開発においては,作り手(=クリエイター)の個性が極めて重要です。

インデックス社においても,アトラスに所属するクリエイターの散逸を防ぐことができなければ,譲渡する事業の価値は減少してしまいます。

そのため,同社においては,事業を継続して従業員の雇用を維持しながら,早急に「アトラス」部門の買い手を探し,できるだけ高い値段で譲渡することが民事再生の基本スキームになるのではないかと思います(あくまで私の私的な予想です)。

ゲーム市場の主流は,スマートフォン向けのオンラインカジュアルゲームに軸が移っており,アトラスが得意とするゲーム専用機向けの作りこんだゲームの市場は縮小傾向が続いていますが,同社には固定ファンが多いこと,過去の作品を含めた知的財産も数多くあること,などを考慮すると,買い手は十分に見つけられるのではないでしょうか。

ファンの一人として,アトラスの明日ができるだけ早く決まり,事業の継続がかなうことを願ってやみません。


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