25年前と変わってないじゃないか! 〜あえて今,家栽の人を読む

最近,「家栽の人」という漫画を読んでいます(今6巻まで読み進めました)。

WEBで調べると,コミックス第1巻の発売が1988年とありますから,私がまだ小学生のころの作品です。

主人公の家庭裁判所判事が,少年事件や家事事件(離婚・相続がメイン)を取り扱いながら,事案の本質を見抜いて,当事者に人間性と言葉でアプローチして問題の「解決」につなげていく,というような物語です。

昨今,テレビドラマでも漫画でも「法律もの」は多いですが,以前はもっと数少なく,その中でもこの作品は良質な内容で評価されていたと聞いています。

私も中学生〜高校生くらいのとき,近所の食堂でこの漫画を読んでいた記憶がありますが,その頃はあまり印象に残りませんでした(余談ですが,同時期に同じ食堂で読んでいた「ナニワ金融道」が今でも強烈な印象を残しているのとは正反対です)。


ところが。

先日ふとした待合時間に手に取る機会があり,あらためて読んでみました。

すると非常に「共感」できる内容で改めて驚きました。

あくまでフィクションであって現実ではないですが,それでも当事者の問題点をあぶり出す「観察力」と,当事者の心に届く「言葉」は,十分に納得できるものでした。

特に離婚事件に関する描写の中で,実務を知るものとして考えさせられるものが多数ありました。

要するに,昔読んだときは,読み手である私が作品を理解できるレベルになかったのです。


確かに作品自体は古く,初出から25年以上が経過しています。

一般に,法律書で手続改正前の25年前の書籍となれば,記録的価値しかないものがほとんどです。

実際,家事事件に関する手続法・実体法のいずれについても,25年前とは大きく変わっている部分が多いのが実情です。

また,いわゆるバブルの崩壊や高齢社会・情報社会の進展など,社会も大きく変わっています。

しかし,法律が変わっても,社会が変わっても,そこで生きる人間の営みは,それほど変わっていないのではないでしょうか。

少なくとも,この作品を読む限り,離婚事件の紛争の本質はほとんど変わっていないように思われます。

思うに,この作品のいいところは,単なるQ&Aやケース紹介に終わらず,当事者の人生を掘り下げ,「人間」と「紛争の背景」について,過度な脚色を省き,丹念に描いているところです。

まさにそれは,時代や制度に左右されない部分であり,だからこそ,25年以上の時間を経てもなお,現在に生きる人間の心を打つことができるのでしょう。


願わくば当事務所も,そんな時代に左右されない価値を提供できるような事務所になりたいと思います。
当面は,少しずつ味わいながら,家栽の人を読み進めていきたいと考えています。 


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