「60秒サービス」と交渉理論

ファーストフードのマクドナルドが,1月4日から「ENJOY!60秒サービス」というキャンペーンをやっています。

同社ウェブサイトを見ると,「11時から14時の利用について,会計終了後から商品提供までの時間を砂時計(ドライブスルーはタイマー)で計測し、もし商品提供に60秒以上かかったら、バーガー類の無料券をプレゼントするキャンペーン」のようです。

私も先日マクドナルドを利用しましたが,目の前で店員さんが砂時計で時間を図りはじめたので少し戸惑いました。

このキャンペーンの消費者にとっての価値は,支払った代金以上の価値を手に入れられる「実質上の値下げキャンペーン」ということになるでしょう。

他方で,マクドナルドにとっての価値はどこにあるでしょうか。

無料で商品を提供するのは,商品の販売という観点からすれば,キャンペーン中は来客数の増加をもたらしますが,キャンペーン中の収益率が低下するリスク,自らの商品自体の「商品価値」を低下させるリスク(かつての激安ハンバーガーがその一例です)などがあり短期的にはリスキーなように思われます。

とすれば,同社の狙いは,直接的な販売促進以外にあると考えるべきでしょう。

たとえば,

・「60秒で提供できる」ことをアピールして,自らの商品提供力・ブランドに対するイメージを向上させる

・現場スタッフに緊張感を与え,生産性を向上させる

・提供時間短縮を今後常態化することで,将来的な顧客の回転率を向上させる

などが考えられます。

たしかに,これらの狙いを実現しながら販売促進ができるのであれば,それは同社にとってもメリットのある戦略ということができそうです。

このような買い手売り手の当事者双方にメリットのある関係は,「交渉理論」においても目標とされています。

いわゆる「win-win」の関係というものです。

ハンバーガーを無料で提供する,という形で「譲歩」しながらも,ほかの視点から達成すべき「利益」を定めてそれを実現する。

このような「パイの広げ方」こそが,交渉理論の重要部分です。

このマクドナルドの経営戦略が成功するかどうかはまだわかりませんが,キャンペーン中に再度同社店舗に行くことがあれば,マクドナルドの戦略について思いを巡らせながら,改めて砂時計を見つめてみたいと思います。


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